- 児玉 実穂 先生
日本歯科大学附属病院 マタニティ歯科外来長 - 「マタニティ歯科外来」は妊娠中の女性に積極的に歯科を受診してもらえるように、女性スタッフのみで構成された専門外来です。プレママの診察を数多く手がけてきた児玉先生に、プレママのお口のことをいろいろ伺ってきました。
- 2013.5.24更新
- 突然ですが、プレママが重度の歯周病になると、
早産・低体重児出産の頻度が高まる可能性があるってご存知ですか?
- えっっ!? そうなんですか?
- 歯周病は、簡単に言うと歯ぐきがはれたり、血が出やすくなったりして弱っている状態なんですけれども、そのときに歯ぐきに溜まったバイ菌と戦うために、自分の体が出す物質が子宮を収縮させる働きがあって、早産を引き起こす可能性があるという報告があります。
他にも、プレママ期は歯周病になりやすいっていうこと、ご存知ですか?
- え!それも知らないです・・・。
- 妊娠すると、血液中の女性ホルモンの分泌量が増えるんですけれど、歯周病を引き起こすお口の菌の中に、この女性ホルモンが大好きな菌がいるんですね。
妊娠中はこの菌が増えやすくなってしまうんです。
他にも、お口の中が不衛生になると、菌も増えやすい環境になるんですが、妊娠中はつわりでお手入れがきちんとできなかったりしますよね。
また、嘔吐で胃酸がお口に戻ってしまい、お口の中が酸性になってしまうことも、お口の環境としては良くない状態です。
さらに、お腹が大きくなって胃を圧迫すると、1回に食べる量が減って何回も食べるようになりますよね。お口の中に糖分を含む回数が増えてくると、お口の中の悪い菌が酸を作って、むし歯のできやすい環境を作り出してしまうんです。
- プレママのお口って、よくないことだらけですね・・・。
- その上、妊娠するとホルモンバランスの影響で、唾液の量も減ったりする方もいるんですよね。唾液にはお口の中を洗い流す作用があるんですが、唾液の量が減ってしまうと、キレイにする力が弱くなって、お口の環境が悪くなってしまいやすいんです。
- あ〜、私も妊娠中は口の中パサパサでした・・・。こんなにも悪いことだらけなんですね。