- 久野 彰子 先生
- 日本歯科大学附属病院 マタニティ歯科外来
「マタニティ歯科外来」は妊娠中の女性に積極的に歯科を受診してもらえるように、女性スタッフのみで構成された専門外来です。歯周病がご専門の久野先生に、妊娠性歯肉炎のこと、分かりやすくお話していただきました。 - 2014.05.20更新
- 「歯周病」というのは大きなくくりで、その中に「歯肉炎」と「歯周炎」があります。歯茎だけに炎症がある場合を「歯肉炎」、歯茎以外の部分にまで炎症が及んでくる場合を「歯周炎」といいます。歯周炎では歯と歯茎とのくっつき(付着)が壊れ、歯を支えている骨も減ってしまいます。ポケットのでき方も両者で異なります。
- 歯と歯茎のくっつきは、壊れると元に戻らないのですか?
- 歯周炎になって一度くっつきが壊れ、骨まで減ってくると元の状態には戻りにくいです。
それに比べると歯肉炎の場合は、歯茎の炎症がおさまれば元の状態に戻ります。
- 比較的多いのは歯肉炎ですね。妊娠性歯肉炎ともいいます。
- どのような症状があるのでしょうか?
- 一番分かりやすいのは歯茎からの出血です。
歯ブラシをあてたら血が出てきた、歯ブラシに血が付いた、口をゆすいだら血が混ざっていたなど、歯磨きのタイミングで気付きやすいですね。他には、歯茎が腫れぼったいとか、うずくような違和感があるといった症状がでることもあります。
- 「歯茎から血がでた」というケースには、「血がドバッと出た!」っていう方もいたりするのですが…
- 血と唾液が混ざったりすると、「多く出た!」と思うことがあるかもしれませんね。
歯と歯茎のくっついた部分が炎症でちょっと弱くなってくると、その下は血管の
ある結合組織なので、血が出てきやすくなります。
- 確かに歯茎から血が出るときは、境目からじわーっと出ますね。歯肉炎になりやすい部位ってありますか?
- 妊娠性歯肉炎に関しては、前歯の部分が多いですね。
歯と歯の間の歯茎って、健康なときはシュッとした三角形ですが、
歯肉炎になるとそれがちょっと丸みを帯びてくるとか、
その三角形が伸び上がった感じになるとか、見た目が変わってきます。